聴覚情報処理障害(APD)とは?症状・原因・対策をわかりやすく解説

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聴力検査では異常がないにもかかわらず、「電話が聞こえにくく感じる」「騒がしい場所だと会話が聞き取れない」と感じることはありませんか。

こうした聞こえに関する困りごととして、近年注目されているのが聴覚情報処理障害(APD)です。

聴覚情報処理障害(APD)は、耳から入った音声情報を脳で適切に処理することが難しい状態と考えられています。

この記事では、聴覚情報処理障害(APD)の症状考えられる原因大人になってから気づくケース対策方法についてわかりやすく解説します。

聴覚情報処理障害(APD)とは?

車いすに座っている女性と介護士

聴覚情報処理障害(APD)とは、音声は聞こえるのに、言葉として理解したり内容を整理したりすることが難しい状態を言います。

周囲からは問題視されにくく、「話を聞いていない」「集中力がない」と誤解されてしまうことも少なくありません。

まずは、聴覚情報処理障害の基本的な症状や特徴について見ていきましょう。

聴力に問題がないのに聞き取りにくさを感じる状態

聴覚情報処理障害(APD)の特徴のひとつは、一般的な聴力検査では異常がみられないにもかかわらず、言葉を聞き取ることに困難を感じる点です。 

音自体は聞こえていても、言葉として理解するのに時間がかかったり、話が長くなると内容を整理できず混乱したりすることがあります。

特に、周囲に雑音がある環境や複数人での会話では、聞き取りにくさが強くなる傾向があります。

APD(聴覚情報処理障害)とLiD(聞き取り困難)の違い

海外では、APD(聴覚情報処理障害)に関連する概念として、LiD(聞き取り困難)という言葉が使われることが増えています。

APD(聴覚情報処理障害)は、耳から入った音の情報を脳でうまく処理できない状態を指します。

一方、LiD(聞き取り困難)は、言葉が聞き取りにくいという症状や困りごとそのものを表す言葉です。

厳密には意味が異なりますが、どちらも「聴力に異常がないにもかかわらず、言葉の聞き取りにくさがある状態」を表すため、近年では「LiD/APD」と併記されることも一般的になっています。

難聴との違い

難聴は、耳そのものの機能が低下し、音が聞こえにくくなる状態です。

一方、聴覚情報処理障害(APD)は、脳で音声情報を処理する過程に課題がある可能性が指摘されています。

ただし、「聞き返しが増える」「会話の内容を理解しづらい」など、難聴と似た症状がみられることもあるため、自己判断はせず、専門家に相談することが大切です。

こんな症状はありませんか?APDでよくみられる聞こえの悩み

耳を検査している様子

聴覚情報処理障害(APD)では、日常生活のさまざまな場面で、聞き取りに困りごとを感じることがあります。

人によって現れ方は異なりますが、仕事や学校、人とのコミュニケーションに影響する場合も少なくありません。

ここでは、よくみられる聞こえの悩みを紹介します。

周囲が騒がしい場所だと会話が聞き取れない

飲食店や駅、オフィスなど、周囲に雑音がある環境では、会話の内容が把握しにくくなることがあります。

相手の声が周囲の雑音に紛れてしまい、必要な声を選んで聞くことが難しくなるためです。

聞き返しや聞き間違いが多い

相手の言葉を正確に理解できず、何度も聞き返したり、聞き間違えたりすることがあります。

特に、似た音の言葉を間違えやすい傾向があります。

複数人での会話についていけない

複数人での会話では、話し手が次々に変わることで、会話の内容を整理しながら聞くことが難しくなる場合があります。

特に、話すスピードが早い場合は、声は聞こえているのに言葉の理解が追いつかず、会話についていけなくなることがあります。

電話やオンライン会議が苦手

聴覚情報処理障害(APD)の人は、会話を理解する際に、表情や口の動き、メモや字幕などの視覚情報を補助的に活用していることがあります。 

そのため、視覚的な情報が少ない電話や、音声が聞き取りにくくなりやすいオンライン会議では、会話の内容を把握しづらくなることがあります。

口頭の説明や指示を覚えにくい

耳から入った情報を整理しながら理解することが苦手なため、口頭で長い説明複雑な内容を聞いても、内容を把握しきれず、覚えにくいと感じることがあります。

特に、複数の指示が続く場面などで困りやすい傾向があります。

聴覚情報処理障害(APD)の原因として考えられていること

病院で問診をしている様子

聴覚情報処理障害(APD)は、ひとつの原因だけで起こるものではなく、複数の要因が関わっていると考えられています。

現時点では原因は明確には解明されていませんが、発達特性脳の情報処理機能心理的な要因などとの関連が指摘されています。

ここでは、原因として考えられている主な要因について紹介します。

発達特性との関連

聴覚情報処理障害(APD)は、発達特性との関連が指摘されています。

特に、ADHD(注意欠如・多動性障害)ASD(自閉スペクトラム症)のある人では、音声情報の整理や必要な音に注意を向けることが苦手な場合があります。

ただし、発達特性がある人すべてに聴覚情報処理障害(APD)がみられるわけではありません。

注意力やワーキングメモリとの関係

注意力やワーキングメモリ(作業記憶)の弱さなど、脳の情報処理機能が関係している場合があります。

会話を理解するには、相手の言葉に注意を向けながら、一時的に情報を記憶して整理する力が必要ですが、これらの働きが弱いと、聞き取りにくさを感じやすくなることがあります。

ストレスや心理的要因との関係

強いストレスや疲労が続くと、集中力が低下し、会話の内容を理解しづらくなることがあります。

必ずしもストレスが聴覚情報処理障害の原因になるわけではありませんが、聞き取りにくさを強く感じる原因のひとつになる可能性があります。

脳機能や神経処理との関係

私たちは、耳から入った音声情報を脳で分析し、言葉として理解しています。

聴覚情報処理障害(APD)では、この情報処理の過程がスムーズに行われない可能性があると考えられています。

ただし、まだ研究段階の部分も多く、現在もさまざまな研究が進められています。

大人になってからAPDに気づくこともある?

患者にヒアリングをしている医者の姿

聴覚情報処理障害(APD)は、子どもの頃から聞き取りにくさがあっても、自分では気づかないまま過ごしていることがあります。

社会人になって仕事でコミュニケーションの機会が増えたり、電話応対や会議など聞き取りが求められる場面が増えたりすることで、初めて困りごととして自覚するケースも少なくありません。

仕事や会議で聞き取りづらさを感じるケース

会議や打ち合わせでは、複数人が次々に発言するため、会話についていくことが難しい場合があります。

メモを取ることに集中すると話が聞き取れず、逆に話を聞くことに集中するとメモが取れないと感じることもあります。

電話応対や接客業で困るケース

電話応対や接客業では、相手の言葉を正確に聞き取る必要があります。

周囲に雑音がある環境では、聞き間違い聞き返しが増え、自信を失ってしまう場合があります。

加齢による聞こえの変化と勘違いされることもある

年齢を重ねると、聞き取りにくさを「加齢のせいだから仕方ない」と捉えてしまうことがあります。

しかし、聞こえにくさの背景には、聴覚情報処理障害(APD)加齢による難聴など、別の要因が隠れている可能性もあります。

自己判断はせず、聞こえに変化を感じた場合は専門家に相談することが大切です。

APDかもしれないと思ったら?確認したいポイント

広場で手を取り合う老夫婦の後ろ姿

聞き取りにくさが続いている場合は、自己判断せず、原因を確認することが大切です。

聞き取りにくさの背景には、聴覚情報処理障害(APD)だけでなく、難聴やほかの要因が関係している場合もあります。 

ここでは、受診前に知っておきたいポイントを紹介します。

まずは聞こえの状態を確認することが大切

「言葉が聞き取りにくい」と感じても、原因が必ずしも聴覚情報処理障害(APD)とは限りません。

まずは耳鼻咽喉科などで聴力検査を受け、耳の機能に問題がないか確認しましょう。

現在の聞こえの状態を把握することが、適切な対処につながります。

難聴とAPDは症状が似ていることがある

難聴と聴覚情報処理障害(APD)は、どちらも「聞き返しが増える」「会話が聞き取りにくい」といった似た症状がみられることがあります。

一方で、難聴は耳そのものの機能が低下している状態であり、聴覚情報処理障害(APD)は脳の音声処理過程に特徴があると考えられています。

症状だけで見分けることは難しいため、専門家による診断を受けることが大切です。

自己判断せず専門家へ相談しよう

聞き取りにくさが日常生活や仕事に影響している場合は、一人で悩まず早めに専門家に相談しましょう。

聴覚情報処理障害(APD)の診療を行っている医療機関はまだ限られているため、まずはかかりつけの耳鼻咽喉科で相談するのがおすすめです。

必要に応じて、専門的な検査や診療が可能な医療機関を紹介してもらうとよいでしょう。

聴覚情報処理障害(APD)はどのように診断される?

白衣を着た医者の手元

聴覚情報処理障害(APD)は、一般的な聴力検査だけでは判断が難しく、複数の検査や問診を組み合わせて総合的に評価されます。

また、日常生活での困りごとや症状の現れ方も重要な判断材料になります。

聴力測定だけでは判断できないことがある

聴覚情報処理障害(APD)では、一般的な健康診断や耳鼻咽喉科で行う聴力検査では異常がみられないことが大きな特徴です。

そのため、聴力検査の結果だけではなく、詳しい問診や専門的な検査を組み合わせて評価する必要があります。

問診や聞き取り検査が行われることもある

診断では、日常生活のどのような場面で困りごとがあるのかを確認する問診が重要になります。

必要に応じて、雑音下での聞き取り検査や、音声情報を処理する能力を確認する検査などが行われることもあります。

診断には複数の視点が必要

聴覚情報処理障害(APD)は、聞き取りにくさの原因がひとつとは限らないため、症状や生活背景も含めて総合的に判断することが大切です。

必要に応じて、ほかの疾患や発達特性との関連も考慮しながら評価が行われます。

聴覚情報処理障害(APD)の人が実践できる対策

医者からアドバイスを受ける患者の様子

聴覚情報処理障害(APD)を根本的に治療する方法は確立されていませんが、生活環境を見直すことで、聞き取りにくさによる負担を軽減できる場合があります。

日常生活の中で無理なく続けられる対策から取り入れてみましょう。

会話しやすい環境を整える

会話をするときは、テレビの音を小さくしたり、静かな場所へ移動したりするなど、できるだけ雑音を減らすことが大切です。

また、相手の顔が見える位置で会話をすると、表情や口の動きも参考にできるため、内容を理解しやすくなります。

文字やメモを活用する

口頭だけで情報を受け取るのではなく、メモやチャット、メールなどの文字情報を活用することも対策として有効です。

特に、情報量が多い場合は文字で残してもらうことで、聞き漏らしや勘違いを防ぎやすくなります。

聞き取りやすい位置を選ぶ

会議や食事の場では、話し手の近く騒音が気になりにくい席を選ぶことも対策の一つです。

座る位置を少し工夫するだけでも、聞き取りやすさが改善することがあります。

家族や職場に協力してもらう

周囲に聞き取りにくさがあることを伝え、理解や協力を得ることも大切です。

「ゆっくり話してもらう」「情報量が多い場合は書面にしてもらう」など、配慮してほしいことを周囲と共有しておくことで、コミュニケーションの負担を軽減しやすくなります。

補聴器や支援機器が役立つケースもある

補聴器を差し出す医者の様子

聞き取りにくさの特徴によっては、補聴器支援機器を活用することで、日常生活の負担を軽減できる場合があります。

必要に応じて専門家に相談し、自分に合った方法を検討しましょう。

補聴器が有効なケースとは

雑音を抑制したり、会話の音声を聞き取りやすくしたりする機能を備えた補聴器が、聞き取りの負担軽減につながることがあります。

ただし、効果には個人差があるため、専門家と相談しながら検討することが大切です。

リモートマイクなどの補聴援助システム

話し手にマイクを装着してもらい、相手の声を直接耳元へ届ける補聴援助システムが役立つこともあります。

学校や職場など、周囲に雑音が多い環境でも、必要な音声を聞き取りやすくなる場合があります。

聞こえ方に合わせたサポートが重要

聴覚情報処理障害(APD)の症状や困りごとは人によって異なります。

そのため、一人ひとりの聞こえ方や生活環境に合わせて、自分に合ったサポート方法を見つけることが大切です。

まとめ

聴覚情報処理障害(APD)は、聴力に異常が見当たらないにもかかわらず、言葉の聞き取りにくさを感じる状態です。

周囲からは理解されにくく、自分でも原因がわからないまま悩みを抱えている人も少なくありません。

聞き取りが難しく、仕事や生活に支障がある場合は、耳鼻咽喉科などの専門家に相談し、適切な検査や評価を受けることが大切です。

また、生活環境を整えたり、文字情報を活用したりすることで、日常生活の負担を軽減できる場合があります。

さらに、症状によっては、補聴器支援機器の活用が聞き取りをサポートしてくれることもあります。

聴覚情報処理障害(APD)の症状や困りごとは人それぞれ異なるため、自分に合った対策やサポート方法を見つけることが大切です。

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