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3月3日は「耳の日」です。病院や地域のイベントで聞いたことがある方も多いかもしれませんが、その起源や意義を詳しくご存じでしょうか。
近年は、日本各地で「耳の日イベント」が開催され、家族で参加できる聞こえの相談会や補聴器の無料体験会なども増えています。
この記事では、耳の日の成り立ちや世界的な耳の日イベントの動きに加えて、「家族で耳について考える日」としての過ごし方や、若いうちからできる難聴予防の対策、補聴器の大切さについて詳しくご紹介します。
ぜひ、耳の日をきっかけに「聞こえ」のチェックをしてみましょう。
目次
3月3日は日本も世界も「耳の日」

実は、3月3日はWHO(世界保健機関)が制定する「World Hearing Day(世界聴覚の日)」でもあり、日本だけではなく、世界的なムーブメントとなっています。
「世界聴覚の日」は、以前は「国際耳のケアの日」として知られていました。「世界聴覚の日」としての初回イベントは2015年に開催されており、それ以降、毎年3月3日には世界中で耳と聴覚の健康について考える取り組みが行われています。
WHOの調査によると、世界では耳と聴覚ケアのニーズのうち80%が満たされておらず、未対処の難聴による経済的損失は全世界で1兆米ドルにのぼるという計算結果が出ています。
これは、難聴が個人の生活の質を下げるだけでなく、社会全体にも大きな影響を及ぼしていることを示しています。
たとえば、2025年の「世界耳の日」のテーマは”Let’s make ear and hearing care a reality for all!”(すべての人の耳と聞こえのケアを実現しよう)です。
「地域社会や医療従事者の間で、まだまだ誤解のある聴覚障害のために行動しよう」というWHOのメッセージにもあるように、耳の日にはご家族の「聞こえにくさ」に寄り添うべく、皆さんで聴力検査に足を運んでみてはいかがでしょうか。
日本各地で開催される「耳の日イベント」
日本でも、耳鼻咽喉科や補聴器専門店が「耳の日イベント」を開催し、無料の聞こえチェックや補聴器相談、子ども向けの耳クイズなどを通じて、ご家族みなさんで耳の健康を考える機会を提供しています。
こうした耳の日イベントを上手に活用すると、「病院などで耳を見てもらうのが少し怖い」という方でも、気軽に聞こえの相談や補聴器の体験をしやすくなります。
普段はなかなか補聴器のことを知る機会がないという方や、急に病院や専門店に行くのは気が引けるという方も、イベントという形なら参加しやすいのでおすすめです。
耳の日の起源

耳の日は、1956年に聴覚障害や耳の病気を持つ方への関心を高めることを目的に、日本耳鼻咽喉科学会が制定しました。
それでは、なぜ3月3日が「耳の日」として選ばれたのでしょうか。実は、耳の日の起源には、3月3日の「みみ」の語呂合わせ以外にも、2つの由来があります。
1. 数字の「3」が耳の形に似ている
1つ目の理由は、数字の3が耳の形に似ていることです。数字の3を横にすると、耳の形に見えることから、3月3日が選ばれました。
この視覚的なつながりも、耳の日を覚えやすくする工夫の一つとなっています。
2. グラハム・ベルの誕生日
もう1つの由来は、グラハム・ベルの誕生日に因んだものです。グラハム・ベルは、スコットランド生まれの科学者で、電話を発明したことで広く知られています。
しかし、彼の功績はそれだけではありません。グラハム・ベルは生涯を通じて聾教育に従事した人物でもあります。
視覚・聴覚・言葉を病気で失った「三重苦」の少女ヘレン・ケラーに、読み書きを教えた家庭教師のサリヴァン先生を引き合わせたのが、グラハム・ベルでした。彼の聴覚障害への深い理解と貢献を記念して、耳の日が制定されたという背景もあります。
耳の日について考える際は、この3つのエピソードもぜひ思い出してくださいね。
耳の日イベントで学ぶ耳の歴史
耳の日イベントでは、こうした歴史的な背景を紹介するコーナーや、子どもたちに向けた「耳の仕組み」のミニ講座が行われることもあります。
家族で耳の日の由来を学びながら、自分たちの耳の健康について話し合うきっかけにしてみてください。
家族で考える「聞こえ」の大切さ
耳の日は、単に耳の健康をチェックするだけでなく、家族全員で「聞こえ」について話し合う絶好の機会です。
聞こえの問題は、本人だけでなく、コミュニケーションを取る家族全員に影響を及ぼします。「何度も聞き返される」「テレビの音が大きすぎる」といった日常の小さな違和感が、実は難聴のサインかもしれません。
世代によって抱える耳の悩みは異なります。
若い世代ではイヤホンの使いすぎや騒音による聴力低下が心配されます。働き盛り世代ではストレスや疲労による突発性難聴のリスクがあり、高齢世代では加齢性難聴による社会的孤立や認知症リスクが問題となります。
こうした世代ごとのリスクを家族で共有し、お互いの聞こえに気を配る習慣を作ることが大切です。
家族で取り組む「耳の日」の過ごし方
耳の日を家族で有意義に過ごすために、いくつかの具体的な方法をご紹介します。
まず、家族でセルフチェックをしてみましょう。後述するセルフチェック項目を使って、家族それぞれの聞こえの状態を確認することから始められます。
「お父さんは最近テレビの音が大きい」「子どもがイヤホンをつけっぱなしにしている」など、気になっていたことを率直に話し合ってみてください。
次に、地域の耳鼻科や補聴器専門店が開催する耳の日イベントに、家族で足を運んでみることをおすすめします。
専門家の話を一緒に聞くことで、共通の理解が深まり、その後の家族間での会話もスムーズになります。
また、日常の会話で気づきを共有することも大切です。ご高齢のご家族に「最近、テレビの音が大きくない?」など、日頃気になっていることを優しく伝え合いましょう。批判するのではなく、心配しているという気持ちを込めて話すことがポイントです。
さらに、ご高齢の方だけでなく、若い世代の生活習慣を見直す機会にもなります。イヤホンの音量や使用時間について、家族で確認し合いましょう。
若い世代こそ注意!「耳の日」に見直したい生活習慣

「難聴」というと高齢者のイメージが強いかもしれませんが、近年はイヤホンやヘッドホンの普及により、若い世代の難聴リスク(イヤホン難聴など)が急増しています。
将来の聞こえを守るために、耳の日をきっかけに家族で見直したい「4つの対策」をご紹介します。
1. 大きな音を長時間聞き続けない
イヤホンで大音量の音楽を聴き続けたり、ライブハウスや工事現場などの大きな音の中に長くいたりすると、耳の奥にある「有毛細胞」がダメージを受けます。
一度壊れた有毛細胞は再生しないため、「音量を上げすぎない」「長時間の連続使用を避ける」ことが最大の予防策です。
2. 耳を休ませる時間を作る
耳は24時間365日、常に音を聞き続けています。 意識的にテレビや音楽を消し、「静かな環境」で過ごす時間を作りましょう。耳だけでなく、脳を休ませることにもつながります。
3. 耳掃除をやりすぎない
実は、耳掃除のやりすぎは耳トラブルの元です。
綿棒や耳かきの使いすぎは、外耳道を傷つけたり、耳垢を奥へ押し込んだりする原因になります。
無理に自分で掃除せず、気になるときは耳鼻科で処置してもらいましょう。
4. 健康診断の結果をしっかりチェックする
学校や会社の健康診断で聴力検査がある場合、結果を軽視せずに確認しましょう。「再検査」の判定が出たり、気になる変化があったりした場合は、放置せずに必ず精密検査を受けてください。
難聴の原因と症状

難聴や聞こえにくさは、なぜ起こるのでしょうか。
原因を知っていれば、対処方法がより見つけやすいかもしれません。
ここからは、難聴の原因と、症状を判定するセルフチェック方法を紹介します。
難聴の原因
難聴には、次の3種類があります。
- ・伝音(でんおん)難聴:外耳や中耳の何らかの障害が原因で起こる
- ・感音(かんおん)難聴:内耳・聴神経・脳の障害が原因で起こる
- ・混合性難聴:伝音難聴・感音難聴が組み合わさったもの。どちらの症状が強いかは個人差がある
伝音難聴は、外耳道炎や急性中耳炎、滲出性中耳炎・慢性中耳炎・耳硬化症など「内耳より外側の器官」での炎症が原因で起こることが多く、薬物治療や手術で改善することが多いです。
一方、感音難聴は「内耳から内側」の蝸牛・聴神経・脳が原因で起こります。
生まれつきの先天性難聴だけでなく、慢性的な騒音が原因で起こる騒音性難聴、急性の突発性難聴、そして加齢によって起こる加齢性難聴も感音難聴です。
難聴の種類・原因については、こちらの記事で詳しく解説しています。
▶「難聴にはどんな種類がある?難聴の特徴や原因を詳しく解説」
難聴のセルフチェック
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頚部外科学会が作成した難聴のセルフチェックを紹介します。
- □会話をしているときに聞き返すことがよくある。
- □うしろから呼びかけられると気づかないことがある。
- □聞き間違いが多い。
- □見えないところからの車の接近にまったく気がつかないことがある。
- □話し声が大きいと言われる。
- □集会や会議など数人の会話がうまく聞き取れない。
- □電子レンジの「チン」という音やドアのチャイムの音が聞こえにくい。
- □相手の言ったことを推測で判断することがある。
- □家族にテレビやラジオの音量が大きいと言われることがよくある。
引用:「『聞こえ』をセルフチェック」一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頚部外科学会
そのほか、次の症状を感じる方も難聴の可能性があります。
- □朝起きたら、急に聞こえにくくなっていた
- □夕方になると聞こえにくい
- □ずっと耳鳴り・耳が詰まった感じがする
- □めまいがある
- □騒音下にいることが多い
- □ストレスが多い
視力の低下と違って、聞こえの低下は自覚症状が出にくいので注意が必要です。
もし心当たりがあれば、耳鼻咽喉科を受診し、聴力検査を受けてみましょう。
耳の聞こえと認知症

2017年に国際アルツハイマー病学会(AAIC)が、認知症の危険因子の1つに「難聴」を挙げました。
その後、2020年にランセット国際委員会が「難聴は、高血圧・肥満・糖尿病と並ぶ認知症の危険因子の1つ」で、なおかつ「40%の予防できる12因子」の中で、難聴が「最も大きな危険因子」と結論づけています。
(参考:Dementia prevention, intervention, and care: 2020 report of the Lancet Commission)
認知症の予防に「難聴の改善」で期待が持てる理由には、次の2つがあります。
- ・音による刺激、脳に伝わる情報が増える
- ・コミュニケーションを円滑にして、認知症の危険因子である「孤立」を防ぐ
先天性難聴の場合はこの限りではありません。
しかし、それ以外の加齢性難聴や突発性難聴の場合には、補聴器の使用で難聴を改善することが認知症の発症リスクをさげるのに有効です。
聞こえと認知症については、こちらの記事で詳しく解説しています。
▶「難聴が認知症のリスクに!ご家族への補聴器のすすめ方」
補聴器購入によくある質問

ここからは、補聴器購入の際によくある質問に回答します。
Q:補聴器はいつから使えばいいですか?
A:「聞こえの不自由さを感じたら、なるべく早く」が望ましいです。
聴力の低下は30代からすでに始まっています。
2021年の研究では「男女とも 40 代から聴力低下が一気に顕在化する傾向が示されています※」とも言われているため、年代に関係なく、聞こえにくさを感じたらまずは聴力検査を受けましょう。
※(引用:『10 代から 90 代までの男女別聴力変化パターン』/国立病院機構東京医療センター 臨床研究センター)
Q:補聴器の価格はどれくらいですか?
A:補聴器にはさまざまなタイプがあり、価格にも大きな幅があります。
例えば、耳あなに入れる耳あなタイプは、片耳100,000~680,000円で、耳にかけて使う耳かけタイプは、片耳50,000~670,000円です。
補聴器は厚生労働省から医療機器として承認されたものを指します。したがって、消費税はかかりません。
補聴器のタイプと価格帯については、こちらの記事で詳しく解説しています。
ぜひ、あわせてご覧ください。
▶「補聴器にはどんな種類がある?補聴器の特徴や価格・メリットを解説」
まとめ|耳の日は聞こえの検査に行こう

3月3日は世界的な「耳の日」です。
耳の日は、聴覚障害や耳の病気をもつ方への関心を高めると同時に、ご自身の耳や聴力にも注意を向ける日でもあります。
「最近ちょっと聞こえにくいけれど、なかなか改善のきっかけを作れない」という方は、耳の日をきっかけに聴力検査を受けてみませんか?
当センターでは、防音室で聴力測定を受けていただけるほか、補聴器のプロによる聞こえのカウンセリング、補聴器の無料体験も承っています。
ご自宅や介護施設へも無料で出張いたしますので、お気軽にご相談ください。
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耳の日には、ぜひ当センターへお越しください。スタッフ一同お待ちしています。
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