補聴器のハウリングが気になる!直し方や原因を解説

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補聴器をつけたとたん、「ピー」「キーン」と耳元で鳴り続ける音に驚いてしまった経験はありませんか?

この「ピーピー音(ハウリング)」が続くと、「補聴器が故障したのでは?」「うるさいから使うのをやめようかな…」と感じてしまい、せっかくの補聴器を引き出しにしまい込んでしまう方も少なくありません。

しかし、補聴器のハウリングは、原因さえわかれば多くのケースで直し方があり、ちょっとした装用の見直しや専門店での調整によって改善が期待できます。

この記事では、補聴器のハウリングとはどんな現象なのか、どんな原因で起こるのかを整理し、「自分でできる対策」と「専門店に任せるべき直し方」に分けてわかりやすく解説します。

補聴器のハウリングとはどんな現象?

耳をふさぐ女性

補聴器のハウリングとは、補聴器から発生する「キーン」「ピー」といった高い音「フォンフォン」「シャーシャー」という低い音まで様々あります。

これは補聴器の構造上起こりうる現象で、マイクで拾った音がスピーカーから出力され、その音が再びマイクに戻ることで音が増幅されるループが形成されることが原因です。

ハウリングは、カラオケでマイクをスピーカーに近づけると起こる甲高い音と同じ原理で発生します。
補聴器は小型の音響機器なので、マイクとスピーカーの距離が非常に近く、音が増幅されるループが生じやすい状態にあるのです。

初めて補聴器を使用する方は、このハウリング音に驚いて「故障したのでは?」と不安になることもありますが、適切な対応で改善できます。

ハウリングは補聴器の調整や装用方法によっても大きく左右されるため、ハウリングが起きてしまう原因や対処法を身につけることが重要になります。

補聴器のハウリングは「補聴器そのものが壊れた」というよりも、音が耳から外にもれたり、マイクに音が戻りやすい条件がそろったときに起こる「音響上のトラブル」です。

言いかえると、補聴器のハウリングは原因さえ特定できれば、直し方(対策)がある程度決まっており、むやみに我慢したり、補聴器をあきらめる必要はありません。

【徹底解説】補聴器でハウリングが起こる6つの原因

うるさそうにしている人形

ここまでご紹介したように、補聴器のハウリングが続くと「故障では?」と感じてしまいがちですが、実際には以下のような原因で起こっていることがほとんどです。

ここでは、補聴器のハウリングの原因を6つに分け、それぞれの直し方の考え方もあわせて紹介します。

補聴器が耳にしっかりフィットしていない(隙間)

ハウリングの最も一般的な原因は、補聴器と耳の間に隙間が生じている事で、この隙間から音が漏れ出し、それがマイクに拾われることでハウリングが発生します。
特に、耳かけタイプのチューブは数か月で硬くなって外れやすくなり、ハウリングを引き起こしやすくなります。

また、長期間の使用で補聴器本体やチューブ、イヤーモールドなどの素材が劣化したりすることも、フィット感の低下につながります。

耳の形は個人差が大きく、また同じ人でも年齢とともに変化するため、定期的なフィッティングチェックが重要です。
適切にフィットした補聴器は、ハウリング防止だけでなく、音質の向上にも貢献します。

体重の増減で耳の形が変わったりすると、以前は問題なかった補聴器でもハウリングが発生することがあります。 

「最近になって補聴器のハウリングが急に増えた」「耳から抜けやすい」と感じる場合は、フィット感を見直すことで改善される可能性が高いです。

装用方法が間違っている(浮き)

正しい装用手順を守らないと、ハウリングが起こりやすくなります。
電源を入れたまま補聴器を耳に装用してしまうと、装用途中で補聴器のマイクが音を拾い、スピーカーから出力された音が再びマイクに入ることでハウリングが発生します。

正しい手順としては、まず補聴器の電源をオフにするか音量を最小にした状態で耳に装用し、その後電源を入れるか音量を調整するのが理想的です。
逆に、取り外す際は先に電源をオフにしてから耳から外すようにしましょう。

補聴器の中には装用時にハウリングを抑える機能が備わった物もあります。

また、耳かけ型補聴器の場合、チューブの向きや長さが不適切だとハウリングの原因になることもあります。
チューブが折れ曲がっていたり、短かすぎたりすると、適切に装着が出来ないので、結果的にハウリングを引き起こす可能性があるので適切な状態に調整しましょう。

特に高齢の方では、「奥まで入れたつもり」でも、実際には耳栓が手前で止まっていて、わずかに浮いた状態になっていることがよくあります。

鏡で見ながら耳のふちを軽く持ち上げて、耳栓の先端がしっかり奥まで入っているか、家族に確認してもらうだけで補聴器のハウリングが減るケースも少なくありません。

音量設定が合っていない(上げすぎ)

補聴器の音量が必要以上に大きく設定されていると、ハウリングが発生しやすくなります。音量が大きいほど、補聴器から出力される音も大きくなり、それがマイクに戻る可能性も高まるからです。

補聴器の適切な音量設定は、聞こえの改善と快適さのバランスを取ることが重要とされています。
単に大きな音にすれば良いというわけではなく、自分の聴力に合った適切な増幅レベルを見つけることが大切です。

また、特定の周波数帯域での増幅が強すぎるとハウリングが起きやすくなることもあります。
このような場合は、専門家による周波数別の細かな調整が必要です。

聴力は少しずつ変化していくため、「最近聞こえにくいから」とご自身の判断で音量をどんどん上げてしまうと、補聴器のハウリングが増えたり、疲れやすくなったりします。 

音量を上げても補聴器のハウリングが出るだけで聞き取りがあまり変わらない場合は、無理に音量を上げるより、補聴器専門店でフィッティング(周波数ごとの調整)を受けた方が安全な改善方法と言えます。

耳垢(みみあか)が詰まっている(耳垢栓塞)

補聴器のハウリングの原因として意外と見落とされがちなのが、「耳垢(みみあか)」です。 

耳の穴が耳垢でふさがっている状態(耳垢栓塞・じこうせんそく)になると、音の通り道がふさがり、補聴器の音が反射してハウリングが起こりやすくなります。

また、耳あかが補聴器の音の出口(レシーバー)に詰まり、音がうまく外に出られずにこもってしまい、結果として補聴器のハウリングが起きることもあります。 

綿棒で強くこすり続けると、かえって耳垢を奥に押し込んでしまうこともあるため、「最近よく詰まる」「聞こえが急に悪くなった」ときは、耳鼻科で耳垢を取ってもらうのが安全な方法です。

補聴器の部品(チューブ・耳栓)の劣化

補聴器は精密機器ですが、「チューブ」「耳栓(イヤーチップ)」「イヤモールド」などの部品は消耗品です。 

耳かけ型補聴器では、チューブが古くなると硬くなって縮んだり、ひび割れたりして、耳にうまく沿わなくなり、その隙間から音がもれてハウリングが増えることがあります。

既製のゴム耳栓も、長く使うと変形したり、弾力が弱くなったりして、最初のころに比べて耳にフィットしにくくなりやすいです。

「チューブが白く濁っている」「耳栓が黄ばんでいる」「前より抜けやすい」と感じるときは、補聴器の故障を疑う前に、部品交換だけでハウリングが改善するケースも多くあります。

生活シーンでの物理的な干渉

補聴器のハウリングは、「耳」や「補聴器本体」だけが原因とは限りません。 

日常生活の中で、帽子・マフラー・マスクのひも・メガネのつる・電話の受話器・高い背もたれのイスなどが補聴器のマイク部分に近づくと、音が反射してハウリングが起きやすいです。 

例えば、耳かけ型補聴器をつけたまま厚手のニット帽を深くかぶると、帽子の生地がマイクに触れてハウリングが出たり、マスクのゴムが補聴器を押し上げて隙間ができてしまうこともあります。

「外ではハウリングが気にならないのに、電話を当てたときだけピーピー鳴る」といった場合は、生活シーンの中の物理的な干渉が原因であることが多く、使い方を工夫することで予防策が見つかります。

今すぐ試せる!自分でできるハウリング対策【初級編】

提案している手のイメージ

ここからは、補聴器のハウリングが気になったときに、自宅で安全に試せる「初級編」の直し方をステップ形式で紹介します。 

いきなり補聴器の故障を疑う前に、次の3つの対策を順番に確認してみてください。

対策1.正しい装用手順をマスターする

補聴器のハウリング対策の基本は、「正しい位置に、正しい手順で装用すること」です。

以下のステップで、補聴器のハウリングが出にくい装用方法をあらためて確認してみましょう。

  1. 補聴器の電源をオフ、または音量を最小にする
  2. 耳たぶや耳のふちを軽く引き上げ、耳穴を広げる
  3. 耳栓(イヤーチップ・イヤモールド)を、奥までしっかり入れる
  4. 耳かけ型の場合は、補聴器本体を耳の上に自然にかける
  5. 最後に、電源をオンにするか、少しずつ音量を上げていく

高齢の方は、耳の入り口付近の「少し手前」でとめてしまうことが多いため、家族に一度、装用後の位置を横から確認してもらうと安心です。

対策2.耳掃除と補聴器のクリーニング

補聴器のハウリングを減らすうえで、「耳」と「補聴器の出口(レシーバー)」の両方をきれいに保つことはとても大切です。

  • 耳掃除は、強くこすらずやさしく拭く程度にとどめる
  • 奥の耳垢が気になる場合は、耳鼻科での耳掃除(耳垢除去)を受ける
  • 補聴器の先端や耳栓は、専用のブラシや柔らかい布でこまめに掃除する
  • 耳かけ型のチューブ内に水滴や汚れがないか確認する

耳垢が詰まっている状態で無理に音量を上げると、補聴器のハウリングが強くなるだけでなく、耳にも負担がかかります。 

耳掃除と補聴器のクリーニングを定期的に行うことは、補聴器のハウリング対策であり、補聴器の故障予防にもつながる大切な習慣です。

対策3.一時的な音量調整

「今日は人が多い場所に行くから、つい音量を上げすぎた」「マイクに近いところで話している」といった一時的な状況が、補聴器のハウリングを起こしていることもあります。

 このような場合は、以下のような一時的な直し方を試してみてください。

  • ハウリングが出やすい場面では、一段階だけ音量を下げてみる
  • 帽子やマスクなど、マイクに近づいているものを少し離す
  • 電話を耳に当てる位置を、補聴器本体に直接触れない場所にずらす

ただし、「いつでも音量を下げないと補聴器のハウリングがおさまらない」「音量を下げると聞こえが物足りない」という状態が続く場合は、補聴器の設定そのものが合っていない可能性があります。

そのときは、次の【上級編】で紹介するような根本的な直し方が必要になります。

専門店に任せるべき根本的な解決策【上級編】

初級編の対策を試しても補聴器のハウリングが頻繁に起こる場合は、ご自身だけでの対処には限界があります。

ここからは、補聴器専門店だからこそできる「根本的な直し方」を3つ紹介します。

解決策1.オーダーメイド耳栓(イヤモールド)の作成

補聴器のハウリングが耳の隙間からの音漏れによって起きている場合、もっとも効果的な直し方の一つが「オーダーメイドのイヤモールド」です。

耳の型をとって作るイヤモールドは、既製サイズの耳栓よりも耳にぴったりフィットし、隙間からの音漏れを大きく減らせます。

特に中等度以上の難聴の方や、高出力の補聴器を使っている方は、音量を上げても補聴器のハウリングが出にくくなるメリットがあります。

解決策2.最新の「ハウリング抑制機能」の活用と調整

最近の補聴器には、「ハウリング抑制機能(フィードバックキャンセラー)」が標準搭載されている機種が多く、適切に設定することで、ピーピー音をかなり抑えることが期待できます。 

補聴器販売店では、実際に補聴器を耳につけた状態で専用機器を用いて調整し、その方の耳や装用状態に合わせてハウリング抑制機能を最適化することが可能です。 

「以前よりハウリングが増えた」「買い替えを検討している」という場合は、最新の補聴器のハウリング対策機能について、専門家に相談してみると良いでしょう。

解決策3.周波数ごとの利得調整(フィッティング)

補聴器の音は、「周波数(音の高さ)」ごとに細かく調整でき、ある特定の周波数だけ増幅が強すぎると、その帯域で補聴器のハウリングが起こりやすくなってしまいます。

補聴器専門店では、聴力検査の結果と日常の聞こえ方の様子をもとに、「どの音をどれくらい上げるか」を細かく調整し、ハウリングを防ぎながら必要な音はしっかり届けられるようフィッティングを行います。 

自己判断で大きく音量を変えるよりも、認定補聴器技能者によるフィッティングで補聴器のハウリングを根本から見直すことが、長期的には安心な直し方です。

まとめ|補聴器のハウリングでお困りなら補聴器販売店へご相談を

補聴器のハウリングは、多くの使用者が経験する一般的な現象ですが、適切な対策を講じることで大幅に改善できます。
本記事で紹介したように、ハウリングの主な原因は「補聴器のフィット感の不足」「装用方法の誤り」「不適切な音量設定」の3つです。
ご自身で補聴器を装着する際の手順なども見直してみてはいかがでしょうか。

しかし、自己対応には限界があります。長期間ハウリングに悩まされている場合は、専門家による調整が最も効果的です。

補聴器は精密機器であり、個人の聴力や耳の形状に合わせた細かな調整が必要です。
定期的なメンテナンスを受けることで、ハウリングの予防だけでなく、補聴器の性能を最大限に引き出すことができます。

愛知県・岐阜県にお住まいの方は、愛知県補聴器センター・岐阜県補聴器センターへ、お気軽に補聴器のご購入やメンテナンスについてご相談ください。

経験豊富な認定補聴器技能者が、あなたの聴こえの悩みに丁寧に対応し、最適な解決策を提案いたします。

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