令和の虎で話題!補聴器カバーの新発想で“見せる補聴器”へ

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今回は、有名YouTubeチャンネル「令和の虎」で取り上げられた、補聴器カバービジネスについて紹介していきます。

補聴器とは「隠すもの」という常識への挑戦から始まった補聴器カバー製作。

今までにない発想への評価とビジネスプランに対する課題が提示されていきます。

この記事では、動画の解説を行った後、補聴器専門店の視点から、補聴器カバーに対する見解を述べさせていただきます。

令和の虎で「補聴器カバー」を提案!志願者の経歴とは

令和の虎にて「補聴器カバー」のビジネスモデルを提案した志願者は、濵村裕二氏、54歳。

専門学校を卒業後、大手IT企業のグループ会社にて約17年間勤務し、

主に販売・仕入れなどを行っていましたが、子育てを機に故郷である長崎へと戻りました。

長崎では、数年間、医療商社でサラリーマン勤務、という経歴の持ち主です。

現在は、2019年に設立したレジンを使ったインテリア商品が主力の「合同会社StudioKAI」の代表を勤めています。

レジン作品のアーティストという異例の経歴も

そもそも現在の会社を立ち上げるきっかけになったのは、濵村さんが48歳のときにハンドメイドでレジンを使った作品を作るようになったことでした。

ハンドメイドマーケットに出品したところ、予想以上の反響と注文があり、本業の収入を越えるようになったため、独立して起業したそうです。

2020年からはアーティスト活動も行っており、日本だけに留まらず、世界各国で個展やアートフェアを開催しています。

また、2023年にはレジンのアート協会(HuiKaiArt協会)を設立し、代表も勤めています。

聴覚障がいインフルエンサーとの出逢い

そんな濵村さんは、レジンのアート協会のプロモーションをするときに、難聴障がいインフルエンサーと出逢います。

このインフルエンサー「難聴うさぎ」さんは、元々濵村さんのレジン作品のファンだったそうです。

難聴うさぎさんと関わっていく中で、補聴器の話になり、「もっとおしゃれにしたい」「高価なものなのに、落としたり汗とかで壊れたりすることもよくある」という意見を聞きました。

そこから着想を得て、レジンで作る補聴器カバーに行きついたそうです。

カバーによって「隠す補聴器」から「魅せる補聴器」へ

補聴器ユーザーの「恥ずかしい」「隠したい」という思いを、補聴器カバーを着けることで「おしゃれ」「見せたい」にすることが可能になります。

つまり、「魅せる補聴器」として、「恥ずかしい」という気持ちをもカバーしてくれる存在になるのです。

この補聴器カバーのコンセプトは、「「見せたくないもの」から「見せたくなるもの」へ」です。

カバーを着けることで、自分らしく、そしてさらに快適に補聴器を身に付けることを目指しています。

「補聴器カバー」のビジネスモデルとは

今回、令和の虎で紹介されたのは、補聴器用のレジンカバーで、全てオーダーメイド、手作業で作るその人だけの1点もののアイテムです。

付け替え可能なデザインカバーで、そのデザインや製作をネイルサロンなどで行っていけるよう、ライセンスで提供を行うという方式です。

フランチャイズでの展開を想定しており、加盟料は約30万円、年間18万円のロイヤリティで運営していきます。

その肝となるのが、製法の特許で、こちらは現在申請中のようです。

この製法をトレーニングすることや集客支援も、フランチャイズ料に加味されているようです。

実際の販売価格帯は?

この補聴器カバーは、1つ1.5万円~2万円前後で販売されます。

補聴器は両耳で着けることが多く、それぞれの型を取ってそれぞれの耳に合ったものが作られます。

同様にカバーも両耳分の型をとる必要があるため、金額も倍になることがあるでしょう。

デザイン違いのものなどを作成する場合には、2000円~5000円ぐらいの販売価格になるとしています。

想定しているターゲット層

主なターゲット層は、高齢女性や若年層の女性、おしゃれが好きな人などとしています。

デザインはネイルと同じで無限大にあり、素材やパーツなども様々な物を選べるため、おしゃれ好きの人からしたら、色々試せて楽しいものになりそうですね。

子供用や男性用のデザインも開発中で、特に男性用はビジネスシーンでも使えるように、暗めの色を採用するなど工夫をしているそうです。

カバーにはチェーンのようなアクセサリーが付いていますが、基本的には落下防止のためにつけられています。

目立たないようにするために、チェーンを耳元や襟足、髪の毛につけてあげるような機能があるものも開発されています。

補聴器カバーをなぜネイルサロンで扱うのか

ネイルサロンでは、レジンを使ってデザインされているものもあるため、取扱いなどにも慣れているという利点があります。

ネイルサロン側も通常のネイルだと、1回に指10本分のデザインを考えないといけませんが、補聴器カバーだと、両耳で2つ分のデザインだけで済むのです。

手間がかからず高単価を稼げることから、ネイルサロンでの導入メリットがあると濵村さんは言います。

また、ネイルサロン業界は価格競争に陥っており、収益性が落ちてきているようです。

補聴器に関連があるような高齢者や手話ができる人は、あまりネイルサロンに行かないということがあり、この部分で新たな顧客創出ができると濵村さんは考えました。

現在のフランチャイズの加盟状況

この放送がされた、2025年7月現在では、フランチャイズ加盟店は6店舗となっています。

2025年3月から実際にフランチャイズの活動を開始し、4月にやっとトレーニングが終了したとのこと。

ホームページなどもまだ立ち上げたばかりのため、実際の販売実績などはまだないそうです。

フランチャイズに関する広告などは打ち出してはいませんが、濵村さんの想いに賛同して加盟を決めてくれたと言います。

「補聴器カバー」の番組内での評価・反応

令和の虎では、5人の評価者がプレゼン内容をもとにそれぞれ独自の視点で評価を行い、出資額を決定するという方式で進んでいきます。

補聴器カバーに対する番組内でのジャッジメントは、5人中3人が出資額0円という結果となりました。

しかし、令和の虎二代目主宰である林社長から条件付きで出資額増額を提案され、濵村さんはその条件を飲み、最終結果としては、希望額800万円の出資金を得ることができたのです。

評価された点

5人の評価者によっていい評価を得られた点は以下のようなものがありました。

  • 社会的価値のある商品であること
  • 新しい視点での商品開発
  • ニッチ(市場の中で競争が激しくない特定の小規模な分野)に着眼したところ

補聴器という社会性の高い商品に対しての付属品ということもあり、社会的に価値があると評価されました。

また、「隠す」ではなく「見せる」という視点の転換や、補聴器という市場の中でもカバーというニッチ市場に着眼した点なども評価された理由に挙げられます。

否定された点

酷評となってしまった意見としては、次のようなものが挙げられます。

  • 始まったばかりで実績不足
  • 集客支援についてが無根拠
  • デザインの主観性が高い

2025年3月にスタートしたばかりで、販売実績が不十分であったり、フランチャイズ本部での集客を謳っているが根拠がなかったりなどを指摘されました。

濵村氏自身がアーティストであり、経営者としてはまだ経験不足といった点も含まれているでしょう。

また、オーダーメイドでオリジナルが作れるとはなっているが、レジンがメインになっていることもあり、それをおしゃれと捉えるかは主観性が高いとの意見もありました。

指摘された改善点

集客については厳しい意見が多く飛び交いました。

「「本部が集客」とするのは、詐欺に近い」、「自信だけでは言ってはいけない」というかなりの酷評もありました。

この点に関して、令和の虎のメンバーはビジネスモデルの再設計を提示したのです。

具体的には、フランチャイズのロイヤリティの見直しや本部としては集客しないなどが挙げられます。

最終ジャッジメントの際に、林社長が提示するプランへの変更を飲むことで、出資金を得ることができ、補聴器カバーの支援が決定しました。

「補聴器カバー」は需要ある?補聴器専門店の見解

では実際に補聴器カバーは需要があるのでしょうか?

私は需要はかなり高い商品になるのではないか、と考えています。

その理由には、今回紹介されたカバーだけでなく、補聴器用のチェーン(イヤチェーン)にもデザイン性に優れた商品が流通していることが挙げられます。

補聴器とおしゃれを掛け合わせた動きというのは、様々なところで実際に起こっていることなのです。

ただし、デザイン性に優れているだけでなく、実用面との両立が必要不可欠であるとも考えます。

実際の補聴器ユーザーの声

実際のところ、補聴器ユーザーから「目立ちたくない」「恥ずかしい」という声は多く聞かれます。

当店のサイトでも、「目立たない補聴器」などのページがよく閲覧されています。

ユーザーとしては、やはり「目立たないようにしたい」という気持ちが強くあるのです。

今回の補聴器カバーは、「見せる」ようにすることで、その恥ずかしさを払拭してくれる役割を持っています。

無限にあるオーダーメイドのデザインだからこそ、見た目の選択肢が増えることで、自己肯定感の向上にも繋がってくる可能性はあると考えます。

まとめ|令和の虎で提案された「補聴器カバー」についての見解

ユーザーのニーズが多様化する中で、補聴器にも様々な選択肢が求められる時代になっています。

ニッチな市場だからこそ、欲しいと思うお客様には明るい未来が見えるはずです。

今回、令和の虎で紹介された補聴器カバーという「見せる文化」は、新しい価値を提示できる可能性を秘めていると言えるでしょう。

番組内では実際に出資が決まったため、これから補聴器カバーの販売に関して、大きく動いていくと思われます。

我々、補聴器専門店としても、こうした動きに注目し、必要に応じてお客様へと選択肢の1つとして提示できるようにしていきたいと思っています。

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