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補聴器を装用した瞬間に「キーン」と耳元で響くハウリングは、多くの方が経験するトラブルです。
しかしながら、原因を正しく理解すれば自分で対処したり、適切な調整を受けるなどで改善できます。
本記事ではハウリングの仕組みや原因を整理し、すぐに試せる直し方から専門家への相談までご案内しますので、快適な生活を実現するための第一歩として、ぜひ参考にしてください。
補聴器のハウリングとはどんな現象?

補聴器のハウリングとは、補聴器から発生する「キーン」「ピー」といった高い音や「フォンフォン」「シャーシャー」という低い音まで様々あります。
これは補聴器の構造上起こりうる現象で、マイクで拾った音がスピーカーから出力され、その音が再びマイクに戻ることで音が増幅されるループが形成されることが原因です。
ハウリングは、カラオケでマイクをスピーカーに近づけると起こる甲高い音と同じ原理で発生します。
補聴器は小型の音響機器なので、マイクとスピーカーの距離が非常に近く、音が増幅されるループが生じやすい状態にあるのです。
初めて補聴器を使用する方は、このハウリング音に驚いて「故障したのでは?」と不安になることもありますが、適切な対応で改善できます。
ハウリングは補聴器の調整や装用方法によっても大きく左右されるため、ハウリングが起きてしまう原因や対処法を身につけることが重要になります。
補聴器のハウリングが起こる原因とは

ハウリングは補聴器使用者にとって一般的な悩みの一つです。快適に補聴器を使用するためには、まずハウリングが発生する原因を理解することが大切です。
- 補聴器が耳にしっかりフィットしていない
- 装着方法が間違っている
- 音量設定が合っていない
ハウリングの主な原因は上記の3つに分類できますので、それぞれ詳しく見ていきましょう。
補聴器が耳にしっかりフィットしていない
ハウリングの最も一般的な原因は、補聴器と耳の間に隙間が生じている事で、この隙間から音が漏れ出し、それがマイクに拾われることでハウリングが発生します。
特に、耳かけタイプのチューブは数か月で硬くなって外れやすくなり、ハウリングを引き起こしやすくなります。
また、長期間の使用で補聴器本体やチューブ、イヤーモールドなどの素材が劣化したりすることも、フィット感の低下につながります。
耳の形は個人差が大きく、また同じ人でも年齢とともに変化するため、定期的なフィッティングチェックが重要です。
適切にフィットした補聴器は、ハウリング防止だけでなく、音質の向上にも貢献します。
装用方法が間違っている
正しい装用手順を守らないと、ハウリングが起こりやすくなります。
電源を入れたまま補聴器を耳に装用してしまうと、装用途中で補聴器のマイクが音を拾い、スピーカーから出力された音が再びマイクに入ることでハウリングが発生します。
正しい手順としては、まず補聴器の電源をオフにするか音量を最小にした状態で耳に装用し、その後電源を入れるか音量を調整するのが理想的です。
逆に、取り外す際は先に電源をオフにしてから耳から外すようにしましょう。
補聴器の中には装用時にハウリングを抑える機能が備わった物もあります。
また、耳かけ型補聴器の場合、チューブの向きや長さが不適切だとハウリングの原因になることもあります。
チューブが折れ曲がっていたり、短すぎたりすると、音の伝達に影響を与え、結果的にハウリングを引き起こす可能性があるので適切な状態に調整しましょう。
音量設定が合っていない
補聴器の音量が必要以上に大きく設定されていると、ハウリングが発生しやすくなります。音量が大きいほど、補聴器から出力される音も大きくなり、それがマイクに戻る可能性も高まるからです。
補聴器の適切な音量設定は、聞こえの改善と快適さのバランスを取ることが重要とされています。
単に大きな音にすれば良いというわけではなく、自分の聴力に合った適切な増幅レベルを見つけることが大切です。
また、特定の周波数帯域での増幅が強すぎるとハウリングが起きやすくなることもあります。
このような場合は、専門家による周波数別の細かな調整が必要です。
補聴器のハウリングの直し方や対策

ハウリングの原因が分かったところで、次は具体的な対策方法をご紹介します。
自分でできる簡単な対処法から専門家に相談すべきケースまで、状況に応じた解決策を見ていきましょう。
自分に合った補聴器を選ぶ
ハウリングを根本的に解決するには、自分の耳の形状や聴力に最適化された補聴器を選ぶことが重要です。
既製のイヤーチップではなく、耳の型を取って作るオーダーメイドのイヤーモールドを使用すると、耳との密着度が高まり、音漏れによるハウリングを大幅に減らすことができます。
また、最新の補聴器は複数のチャンネルで細かく音を調整できるため、ハウリングが起きやすい特定の周波数だけを抑えることも可能です。
補聴器の種類も重要で、耳あな型はスピーカーとマイクの位置が近いため、音のループがしやすくハウリングが起こりやすい傾向があります。
一方、耳かけ型はスピーカーとマイクの位置が遠いので、ハウリングが起きにくいというメリットがあります。
ご自身のライフスタイルや聴力に合わせて最適な種類を選びましょう。
ハウリング抑制機能を使う
現代のデジタル補聴器には、ハウリングを自動的に検知して抑制する機能が搭載されています。
この機能は、ハウリングが発生しそうな周波数を識別し、その周波数の増幅を抑えたり、逆位相の音を加えてハウリング音を打ち消したりする技術を使用しています。
高性能な補聴器では、環境音の変化に応じて自動的に音量や周波数特性を調整するオート機能が備わっています。
これにより、静かな環境から騒がしい環境に移動した際も、常に最適な設定を維持できるため、ハウリングのリスクを低減できるのです。
ハウリング抑制機能の性能は補聴器のグレードによって異なりますので、購入前に機能の有無や性能について確認することをおすすめします。
最新の技術を搭載した補聴器は価格が高くなる傾向がありますが、値段だけで選ばずに機能性や装着したときのフィット感なども確認して選ぶようにしましょう。
補聴器販売店に相談する
自己対応でハウリングが改善しない場合は、補聴器専門店に相談することが最も確実な解決策です。
認定補聴器技能者は、精密な聴力測定結果に基づいて、あなたの聴力に最適な補聴器の選定や調整を行うことができます。
補聴器の調整では、以下のように様々な要素を総合的に見直します。
- 周波数ごとの増幅レベル
- ハウリング抑制機能の設定
- 耳栓・イヤーモールドのフィッティング
また、定期的なメンテナンスによって、耳あかの除去やチューブの交換なども行えるため、ハウリングの予防にもつながります。
まとめ|補聴器のハウリングでお困りなら補聴器販売店へご相談を
補聴器のハウリングは、多くの使用者が経験する一般的な現象ですが、適切な対策を講じることで大幅に改善できます。
本記事で紹介したように、ハウリングの主な原因は「補聴器のフィット感の不足」「装用方法の誤り」「不適切な音量設定」の3つです。
ご自身で補聴器を装着する際の手順なども見直してみてはいかがでしょうか。
しかし、自己対応には限界があります。長期間ハウリングに悩まされている場合は、専門家による調整が最も効果的です。
補聴器は精密機器であり、個人の聴力や耳の形状に合わせた細かな調整が必要です。
定期的なメンテナンスを受けることで、ハウリングの予防だけでなく、補聴器の性能を最大限に引き出すことができます。
愛知県・岐阜県にお住まいの方は、愛知県補聴器センター・岐阜県補聴器センターへ、お気軽に補聴器のご購入やメンテナンスについてご相談ください。
経験豊富な認定補聴器技能者が、あなたの聴こえの悩みに丁寧に対応し、最適な解決策を提案いたします。