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補聴器には「デジタル式」と「アナログ式」という2種類があります。
初めて補聴器を選ぶときに「どちらを選べば良い?」「値段差はどのくらい?」「音質の違いは?」など、違いに悩む人も多いでしょう。
この記事では、デジタル補聴器とアナログ補聴器の違いについて、特徴から値段、音質までを初心者にもわかりやすく解説します。
適切な補聴器を選ぶことは、聴力改善の第一歩となります。
ご自身のライフスタイルや聴力状態に合った補聴器を見つけるための一助となれば幸いです。
補聴器選びに悩まれている方は、補聴器専門店にぜひご相談ください。
目次
デジタル補聴器とアナログ補聴器の違い|特徴

かつてはアナログ補聴器が一般的でしたが、現在ではデジタル補聴器が主流となっており、より快適な聞こえを求める方に選ばれています。
デジタル補聴器は近年主流となっている補聴器で、細かな音の調整ができたりスマートフォンと連携など、ハイテクな作りになっています。
一方で、アナログ補聴器は長年取り扱われている従来型の補聴器で、音をそのまま増幅するシンプルな仕組みが特徴です。価格が比較的安価であることや、操作が直感的で分かりやすい点から、根強い人気があります。
ここでは、それぞれの補聴器の特徴を詳しく解説し、どのような違いがあるのかを解説していきます。
デジタル補聴器の特徴
デジタル補聴器は、最新のデジタル技術を活用した現代の主流となっている補聴器です。
マイクで集音した音声をデジタル変換し、内蔵されたコンピューターチップで処理して増幅するため、きめ細かな音の調整や、雑音の除去など高度な機能から、環境に応じた音の調整が可能です。
多くのデジタル補聴器には雑音抑制機能やハウリング抑制機能が搭載されていることから、様々な環境で快適に使用できるように設計されています。
さらに、Bluetooth接続など、スマートフォンをはじめとする外部機器と連携可能なモデルも増えており、さまざまなニーズに対応できる補聴器が登場しています。
アナログ補聴器の特徴
アナログ補聴器は、従来から使われている比較的シンプルな技術を基にしており、音をアナログ信号として増幅するだけのシンプルな構造が特徴です。
集音した音をそのまま増幅して耳に届けるため、デジタル補聴器のような複雑な音の処理はできませんが、シンプルな構造のため故障しにくいというメリットがあります。
操作が簡単で、音量調節つまみなどの直感的な操作が可能なことも特徴的です。
ただし、近年は新しいアナログ補聴器の開発はほとんど行われておらず、現在の市場ではデジタル補聴器が主流となっています。
デジタル補聴器とアナログ補聴器の違い|音質

補聴器を選ぶ際、音質の違いは非常に重要なポイントになります。
デジタル補聴器とアナログ補聴器では、音の処理方法が異なるため、聞こえ方にも大きな差が生じます。
ここでは、それぞれの補聴器がどのような音質を提供するのかを詳しく解説します。
デジタル補聴器の音質
デジタル補聴器は、音をデジタル信号に変換して処理するため、きめ細かな音質調整が可能です。
高度な信号処理により、会話の声を強調したり、不要な騒音を抑制したりすることができます。
また、使用者の聴力に合わせて特定の周波数だけを増幅することも可能で、聴力検査の結果に基づいたカスタマイズが行えるのも魅力的です。
最新のモデルには、AIを活用した音声認識技術により話し声と環境音を区別して、より自然な聴こえを実現しているものもあります。
デジタル補聴器は音の歪みが少なく、クリアな音質が期待できるでしょう。
アナログ補聴器の音質
アナログ補聴器は、入力された音をそのまま増幅するシンプルな仕組みを持っています。
全ての音が均一に増幅されるため、会話と周囲の騒音を区別することが難しく、うるさい環境では音や声が聞き取りにくくなる可能性があります。
「聞き取りにくいから」と音量を上げると全ての音が大きくなるため、不快に感じる場合があるので、音量調整には注意が必要です。
ただし、音の遅延が少ないため、ご自身の声や楽器演奏など即時性が求められる場面では自然に感じられるでしょう。
シンプルな構造ゆえに、「素直な音」と感じる方もいる一方で、細かな調整が難しいという制限もあります。
デジタル補聴器とアナログ補聴器の違い|値段

デジタル補聴器とアナログ補聴器は、機能の有無によって値段にも大きな違いがあります。
実際にどの程度値段が違うのか、ここでは、デジタル補聴器とアナログ補聴器の値段をご紹介します。
機能やメリットを基に、この値段がふさわしいのか、検討してみて下さい。
デジタル補聴器の値段
デジタル補聴器は機能や性能によって値段に幅があります。
どんな機能を求めるかによってグレードを選べるのもデジタル補聴器の特徴と言えるでしょう。
デジタル補聴器の値段の目安:
| グレード | 片耳あたりの値段 | 特徴 |
|---|---|---|
| エントリー | 5万円~20万円 | 基本的な音声処理機能 |
| ミドル | 20万円~40万円 | 雑音抑制など中程度の機能 |
| ハイエンド | 40万円~60万円 | 高度な音声処理、AI(人工知能)連携機能など |
多くの方に選ばれているのはミドルレンジのデジタル補聴器で、市場が大きい分種類も豊富に揃っています。
それに対して、優れた機能性を求める場合はハイエンドモデルがおすすめです。
補聴器のお試しができる販売店もありますので、実際に使用感を確かめてから購入を決めると良いでしょう。
アナログ補聴器の値段
アナログ補聴器は、デジタル補聴器に比べて比較的安価で手に入るのが特徴です。
価格帯は機種によりますが、基本的にシンプルな構造のため、コストを抑えた選択肢となるでしょう。
アナログ補聴器の値段の目安:
| グレード | 片耳あたりの値段 | 特徴 |
|---|---|---|
| 低値段帯 | 1万円~3万円 | 最もシンプルなモデル |
| 中値段帯 | 3万円~5万円 | 基本機能が充実したモデル |
市場に流通しているアナログ補聴器の価格帯は幅がありますが、一般的にデジタル補聴器のエントリーモデルよりも低価格で購入できることが多く、基本的な聞こえの補助が目的であればコストパフォーマンスに優れています。
ただし、現在はデジタル補聴器が主流となっており、流通量が減っているため選べるモデルが限られている点には注意が必要です。
購入を検討する際は、販売店の取り扱い状況を確認しながら、ご自身に合った価格帯のものを探すと良いでしょう。
デジタル補聴器とアナログ補聴器の違い|メリットとデメリット

デジタル補聴器とアナログ補聴器には、それぞれ異なる特徴があり、使用する環境や目的によって適したタイプが異なります。
ここからは、デジタル補聴器とアナログ補聴器のメリットとデメリットについて、それぞれ比較しながら詳しく解説していきます。
デジタル補聴器とアナログ補聴器のメリットの違い
下記ではデジタル補聴器とアナログ補聴器のメリットの違いをまとめました。
比較してみると値段や、機能面においてメリットに違いがあるようです。
| デジタル補聴器 | アナログ補聴器 |
|---|---|
|
|
デジタル補聴器は、特徴でもご紹介した通り、高度な音声処理機能や雑音抑制機能を搭載したモデルが多く、快適な聞こえをサポートするのが特徴です。
さらに、スマートフォンと連携できる機種もあり、音量調整や会話の明瞭化などを手元で簡単に設定できるため、利便性にも優れています。
一方、アナログ補聴器はシンプルな構造で、直感的に操作できる使いやすさが魅力です。
また、価格が比較的安いため、コストを抑えて補聴器を使用したい人にとっても選びやすい選択肢となっています。
デジタル補聴器とアナログ補聴器のデメリットの違い
続いて、デメリットの違いを比較してみましょう。
快適に補聴器を使用するためにも、メリットやデメリットからご自身が何を求めるか判断してみて下さい。
| デジタル補聴器 | アナログ補聴器 |
|---|---|
|
|
デジタル補聴器は多機能である反面、価格が高くなりやすくなる点がデメリットです。
また、電池の消費が早いなど、日々のメンテナンスが求められますが、最近では充電式の補聴器が普及しており、その問題も解消されつつあります。
一方、アナログ補聴器は価格が抑えられているものの、音質の調整機能が限られているので自分の聴力に合い辛く、騒音の多い環境では聞き取りにくさを感じることも多くあります。
さらに、環境に応じた自動調整ができないため、使用するシーンによっては不便に感じることがあるかもしれません。
それぞれのデメリットを踏まえた上で、ご自身の使用環境や求める機能に合った補聴器を選ぶようにしましょう。
デジタル補聴器でできること

デジタル補聴器は、従来のアナログ補聴器と異なり、集音した音声をデジタル信号に変換し、内蔵コンピューターチップで細かく信号処理・増幅します。
この技術進化により、下記のような多彩な機能が実現しています。
- ユーザーごとの聴力や環境に合わせたきめ細やかな調整(マルチチャンネル処理)
- 雑音や衝撃音の抑制、会話の声だけを強調する「騒音制御機能」
- スマートフォン連携によるリモコン操作や、音楽・通話ストリーミング、補聴器の設定変更
- AI(人工知能)機能搭載モデルでは、環境や使う人の好みに合わせて自動的に最適な音へ学習・調整可能
- 小型化・目立ちにくいデザイン、多様な電源方式(電池・充電式)
近年では、デジタル補聴器は小型化・多機能化しているため、進化している上記の機能を解説していきます。
マルチチャンネル(周波数ごとの細かい調整)
デジタル補聴器の最大の特長は、入力された音を複数の周波数帯(チャンネル)に分割し、各帯域ごとに音量や圧縮率を調整できることです。
利用者の聴力や「聞こえにくい音域」に合わせて細かく調整できるため、違和感の少ない自然な聞こえと快適な装用感が得られます。
騒音抑制・会話強調
デジタル補聴器は、騒音の多い場所でも周囲の雑音と人の声(言葉)を識別・分析し、騒音だけを自動的に抑制することにより、駅やレストラン、会議などの環境でも会話がクリアに聞こえるよう工夫されています。
具体的には、エアコンや換気扇など定常的に発生するノイズ、突発的な物音、風などを低減する複数の制御プログラムが搭載されています。
また、補聴器のマイク部分に搭載される「指向性」機能では、正面にいる話者の声を強調し、周辺(横・後ろ)の騒音を抑えることができます。これにより、多人数の会話や騒がしい空間でも重要な音だけを選択的に強調することが可能です。
ストリーミング機能・周辺機器対応
デジタル補聴器はスマホやテレビとの連携も可能で、テレビアダプターなどのオプションを使えば、家族と同じ音量で離れた場所からでも音声がクリアに聞こえます。
さらにBluetoothを使えば、スマートフォンの通話・音楽・動画音声をダイレクトに補聴器へ転送できます。
また、スマホアプリで音量・音質・プログラム変更などの操作が簡単にできるため、細かい調整が生活の中で柔軟に行える点もデジタル補聴器ならではのメリットです。
AI学習機能&環境自動切替
最新機種では搭載AIが利用者の嗜好・環境や利用パターンを学習し、受け取りたい音声を自動で最適化します。
話・音楽鑑賞・外出・仕事など、シーンごとに最適な設定に自動で切り替わる「環境プログラム記憶/マルチメモリー」機能などもあります。
充電式・防水防塵
充電式タイプはボタン電池交換の手間が少なく、専用ケースで簡単に充電できるモデルが主流です。
防水・防塵性能も向上しており、汗や雨の多い日本の気候でも安心して長く使えます。
補聴器特有の「ピーピー音(ハウリング)」や、不快な突発音、風によるノイズを自動抑制する機能も強化されているため、長時間利用しても「聞き疲れ」に悩まされにくい設計です。
デジタル補聴器を使う主なシーン

デジタル補聴器は家庭・外出・仕事・会食・スポーツ・旅行・映画観賞など、あらゆるシーンで「聞こえ」を快適にサポートします。
補聴器を使う主なシーンごとに、どのような快適さが得られるのかをシーン別に分けて解説します。
家族や親しい人との会話
補聴器を使うことで、会話の聞き逃しや聞き返しが減り、家族や友人とのコミュニケーションがスムーズになるため、必要以上に大きな声で話しかけられることも少なくなり、自然なやり取りができるようになります。
お孫さんや家族が話す小さな声もしっかり届くため、家庭の団らんがより豊かになり、世代を越えた交流も深まるでしょう。
テレビ・音楽・映画鑑賞
補聴器によって、テレビや音楽、映画の音声がクリアに聞こえやすくなります。
家族と同じ音量でテレビを楽しめるため、「音量が大きすぎる」と注意されることが減り、家族みんなでコンテンツを快適に利用できるようになるでしょう。
レストランやカフェなど騒がしい場所
外食やカフェなどでは、雑音が多く会話が難しい場面が増えますが、デジタル補聴器は周囲の騒音と会話の声を識別して調整するため、環境ノイズを抑えて相手の声をクリアに補助してくれる機器です。
グループでの会話や複数人のやりとりでも、誰が話しているのかを判断しやすく、外出時のストレスや孤立感を大幅に減らすことができます。
仕事や社会活動、会議
職場での打ち合わせや会議でも、補聴器があると発言者や複数人の話す内容をしっかり聞き取ることが可能です。
重要な情報の聞き逃しを防げるほか、不安やストレスなく発言したり、能動的に会話へ参加しやすくなるため、電話対応やアナウンスの聞き取りも楽になり、社会的な役割や自信の回復にもつながります。
外出・交通・安全面
外を歩くときや交通機関の利用時も、補聴器が警告音やアナウンス、周囲の車や自転車の音を補助してくれることで安心です。
日常生活の安全性が増し、外出や趣味、旅行も自信を持って楽しめるようになります。
自然・日常の音環境
補聴器を使うことで、雨の音、風、木の葉のざわめき、小鳥のさえずりなど、これまで聞き取りづらかった自然の音も感じやすくなります。
日常生活そのものの「音の豊かさ」が戻り、心理的なリラックスや満足感も向上します。
このように、それぞれのシーンで補聴器は単なる「音の補助」にとどまらず、人とのつながりや日々の楽しみ、安全性、精神面まで幅広い快適さをもたらします。
補聴器の種類
従来の区分(アナログ/デジタル)に加え、デジタル補聴器は形状・方式でさらに分類されます。
- 耳あな型:耳の穴に収まる小型モデル。目立ちづらく、マスクや眼鏡とも併用しやすい。
- 耳かけ型(RICタイプ含む):耳の後ろにかけ、音量や音質調整機能も搭載。重度難聴にも対応
- 電源方式:従来の空気電池式に加え、充電式モデルも増加
利用者の聴力や好みに応じて選べる幅が広がっています。
デジタル補聴器はどこで買うべき?

補聴器は調整やアフターケアが非常に重要なため、「認定補聴器専門店」「認定補聴器技能者」の在籍する専門ショップでの購入が推奨されます。
- 自宅や職場近くで通いやすいお店を選ぶ
- 調整やメンテナンス、トラブル時の対応がしっかりした店舗を選ぶ
- 試聴・貸し出し、専門スタッフによるカウンセリング体制が整っていること
購入後も一定期間での微調整や定期メンテナンスが快適な使用のコツです。
このように、デジタル補聴器は単なる音の増幅を超え、多彩な最新機能や使い方の広がりにより、現代生活にフィットした選択肢となっています。
補聴器選びの際は、ご自身の使いたい場面や重視する機能、予算、アフターサポート体制まで含め、お近くにお住まいの方は愛知県・岐阜県補聴器センターにご相談ください!
どんな人が向いている?補聴器選びで大切なこと

デジタル補聴器とアナログ補聴器には、それぞれ異なる特徴があり、価格や機能の違いもあります。
近年の技術革新により、デジタル補聴器の性能は大きく向上していることが特徴です。
デジタル補聴器は音質、機能性、使い心地のすべてが進化しており、日常生活をより快適にしてくれるため、現在では多くの方がデジタル補聴器を選択しています。
アナログ補聴器は「価格が安い」「操作がシンプル」といった理由で根強い人気がある補聴器です。
しかし近年では、デジタル補聴器も手頃な価格帯が増え、操作性も改善されてきたことで、使いやすさとコストパフォーマンスの両立が実現しています。
どちらを選ぶべきか迷ったときは、補聴器専門店などで相談しながら実際に試聴してみることが大切です。聞こえ方の好みや生活スタイルに合った補聴器を選ぶことで、長く快適に使うことができます。
ここからは、デジタル補聴器とアナログ補聴器、それぞれがどんな人に向いているのかをご紹介します。
デジタル補聴器が向いている人
デジタル補聴器は、最新の技術を活用した多機能な補聴器です。
環境に合わせた音の調整を得意とするため、特に以下のような方におすすめです。
- さまざまな環境で過ごす機会が多い方
- 会話をしっかり聞き取りたい方
- 細かい音質調整を希望する方
- テクノロジーに抵抗がない方
- 目立たない補聴器を探している方
デジタル補聴器は、高度な音声処理や騒音抑制機能を備え、快適な聞こえをサポートしてくれます。
静かな場所から騒がしい環境まで幅広く対応でき、会話の聞き取りやすさを重視する方に適しています。
さらに、細かな音質調整やスマートフォン連携機能を活用できる点も魅力です。
アナログ補聴器が向いている人
アナログ補聴器はシンプルな構造が特徴で、以下のような方に向いています。
- コストを抑えて補聴器を購入したい方
- 操作が簡単な補聴器を探している方
- 電池の持ちを重視する方
- 軽度の難聴がある方
アナログ補聴器は、シンプルな構造で直感的に操作ができます。
音をそのまま増幅する仕組みのため、細かい調整はできないため、その分価格は安くなります。
デジタル補聴器とアナログ補聴器の違い|まとめ
補聴器は「聞こえ」をサポートするだけでなく、日々のコミュニケーションを支える大切な道具です。
これから補聴器を選ぶなら、機能性・快適さ・将来性を考慮して、デジタル補聴器を選ぶのがスタンダードです。
補聴器の選択に迷った場合は、専門家に相談しながら試聴し、ご自身にとって最適なものを見つけると良いでしょう。
適切な補聴器を選ぶことで、日常生活の聞こえの質が向上し、より快適にコミュニケーションを楽しめるようになります。
また、ここまでの特徴やメリットを比較しても選べないという方は、補聴器販売店にぜひご相談ください。
一人ひとりの聞こえ方に合わせた調整をし、補聴器を提案いたします。