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耳鳴りが起きた際に、「疲れているだけ」「補聴器が合っていないのかも」「難聴による耳鳴りだろう」と考える人は少なくありません。
しかし、耳鳴りの原因は過労や耳、補聴器だけではなく、高血圧が関係していることもあります。
本記事では、高血圧で耳鳴りが起こるメカニズム、高血圧による耳鳴りの主な症状、普段から意識しておきたいポイントなどを解説します。
目次
高血圧で難聴や耳鳴りが起こるメカニズム

高血圧は内耳の微細な血管に影響を与え、血流を低下させることで、感音難聴を引き起こすこともあります。
高血圧が続くと内耳の感覚細胞にダメージを与え、聞こえの低下を招くためです。
国内においても高血圧と難聴の研究は進んでおり、愛媛大学は高血圧と難聴に関する研究を発表しています。
しかし、加齢による難聴と症状が似ているため、年齢のせいと思われやすく、見逃されがちです。
ここでは、高血圧と耳鳴りのメカニズムを解説します。
耳の奥の血流が悪くなる
内耳への血液供給は、蝸牛動脈という血管系によって主に行われています。
この血管系には代替経路がほとんどないため、蝸牛動脈に血流障害が生じると、内耳全体の血流が不足しやすく、耳鳴りが起こることがあります。
また、高血圧が続くと、血管条の微小血流が低下し、内耳の内リンパ電位や酸素バランスが乱れます。感覚細胞(有毛細胞)に変化が生じ、耳鳴りが誘発されることもあります。
耳に酸素が十分に届かなくなる
血圧が高い状態が続くと、血管の変化や動脈硬化の進行により、内耳の微小血管(特に血管条や蝸牛の毛細血管)の血流が低下しやすくなります。
これにより、内耳への酸素・栄養供給が不十分となり、感覚細胞に影響が及び、耳鳴りが生じることがあります。
高血圧が長期間続くと、血液の粘度が上昇する傾向が見られる場合もあり、これがさらに血流に影響を与える要因です。
内耳の感覚細胞は酸素不足に弱い特徴があります。わずかな血流低下でも機能に変化が起きやすく、耳鳴りや一時的な聴力変動が現れることもあります。
補聴器をお使いの方が知っておきたい高血圧との関係

補聴器を使っていても耳鳴りが気になることがあります。
「補聴器が合っていないのかな」と思いがちですが、耳鳴りの原因はさまざまで、高血圧もその要因の一つとして考えられます。
耳鳴りの原因は一つではない
補聴器をお使いの方で耳鳴りを感じる場合、主に以下のような原因が考えられます。
- 補聴器の調整不足→音量や周波数の設定が合っていない
- 難聴の進行→聴力が変化している
- 疲労やストレス→心身の疲れが溜まっている
- 血流の影響→高血圧など、体全体の血流状態
このように、耳鳴りは複数の要因が重なって起こることもあります。
一つの原因だけに決めつけず、いくつかの可能性を考えることが大切です。
高血圧と聞こえの関係を意識する
健康診断などで「血圧が高め」と言われたことがある方は、聞こえの変化にも少し意識を向けてみましょう。
高血圧が続くと、前述のとおり内耳への血流に影響を与えることがあります。
特に、心臓の鼓動に合わせて「ドクドク」と規則的に聞こえる拍動性の耳鳴りは、血流と関係している可能性があります。
定期的な健康チェックと補聴器の調整、両方が大切
聞こえの健康を保つためには、補聴器の定期的な調整と、体全体の健康管理、両方が大切です。
補聴器専門店では、聞こえの状態をチェックし、補聴器の設定を見直すことができます。
耳鳴りが気になる場合は、調整で改善するケースも多くあります。
また、普段から適度な運動やバランスの良い食事、十分な睡眠など、基本的な生活習慣を整えることも、聞こえの健康につながります。
日常生活でできる聞こえと血圧の健康管理

高血圧と聞こえの関係を知ったところで、「では具体的に何をすればいいの?」と思う方も多いでしょう。ここでは、日常生活の中で無理なく取り組める健康管理のポイントをご紹介します。
生活習慣の改善ポイント
聞こえと血圧、両方の健康を保つためには、日々の生活習慣が大切です。
特別なことをする必要はなく、基本的な健康習慣を意識するだけで、体全体の血流改善につながります。
【ポイント①適度な運動を習慣にする】
ウォーキングや軽いストレッチなど、無理のない範囲での運動は、血流を改善し、血圧の安定にも役立ちます。
1日30分程度の散歩を習慣にするだけでも、体全体の血液循環がよくなり、内耳への血流にもプラスの影響が期待できます。
運動は一度に長時間行うよりも、毎日少しずつ続けることが大切です。
階段を使う、一駅分歩く、買い物のついでに遠回りするなど、日常の中に取り入れやすい工夫をしてみましょう。
【ポイント②バランスの良い食事を心がける】
塩分の取りすぎは血圧を上げる要因の一つです。
外食やインスタント食品が多い方は、できる範囲で減塩を意識してみましょう。
また、野菜や果物、魚など、バランスの良い食事を心がけることで、血管の健康も保ちやすくなります。
特に、青魚に含まれるDHAやEPAは血液をサラサラにする働きがあるとされ、内耳への血流改善にもつながる可能性があります。無理なく、できることから始めてみましょう。
【ポイント③十分な睡眠と休息を取る】
睡眠不足や疲労の蓄積は、血圧を不安定にする要因の一つです。
また、疲れが溜まると耳鳴りが悪化しやすいという声もよく聞かれます。
夜更かしを避け、規則正しい生活リズムを保つことで、体全体の調子が整いやすくなります。
質の良い睡眠は、聞こえの健康にとっても大切な要素です。
【ポイント④ストレスをためない工夫をする】
ストレスは血圧を上昇させる要因の一つであり、耳鳴りを悪化させることもあります。
完全にストレスをなくすことは難しいですが、自分なりのリラックス方法を見つけることが大切です。
趣味の時間を持つ、好きな音楽を聴く、ゆっくりお風呂に入るなど、日常の中でほっとできる時間を意識的に作りましょう。
深呼吸や軽いストレッチも、気軽にできるリラックス方法としておすすめです。
【ポイント⑤体調の変化を記録しておく】
「いつから耳鳴りが気になり始めたか」「どんなときに強く感じるか」「血圧が高めと言われた時期はいつか」など、体調の変化を簡単にメモしておくと、専門店や専門家に相談する際に役立ちます。
スマートフォンのメモ機能や手帳に、気づいたことを記録しておく習慣をつけてみましょう。
小さな変化に気づきやすくなり、早めの対応につながります。
【ポイント⑥水分補給を意識する】
血液の流れをよくするためには、適切な水分補給も大切です。
特に夏場や運動後は、こまめに水分を取るよう心がけましょう。
ただし、カフェインの多いコーヒーや紅茶、アルコールは利尿作用があるため、水分補給としては水や麦茶などがおすすめです。
補聴器ユーザーが気をつけたいこと
補聴器をお使いの方が、聞こえと血圧の健康を保つために意識しておきたいポイントをご紹介します。
【定期的な聴力チェックと補聴器の調整】
聴力は加齢や体調によって変化していきます。
「最近、補聴器をつけていても聞こえにくい」「耳鳴りが気になるようになった」と感じたら、それは聴力が変化しているサインかもしれません。
補聴器専門店では、定期的に聴力を測定し、現在の聞こえに合わせて補聴器を調整することができます。
3ヶ月〜半年に1回程度、定期的にチェックを受けることをおすすめします。
【補聴器の音量設定に注意する】
聞こえにくいからといって、補聴器の音量を必要以上に大きくしすぎるのは避けましょう。
過度な音量は、かえって耳に負担をかけ、耳鳴りの原因になることもあります。
適切な音量設定は、専門スタッフに相談するのが一番です。自己判断で大きくしすぎず、快適に聞こえる設定を見つけることが大切です。
【静かな環境でも補聴器を使いましょう】
ご家庭内の静かな環境であっても、何かしらの生活音はあります。難聴が進行して、そうした生活音が聞こえなくなることで、耳鳴りが悪化することがあります。
家の中や静かな場所で、「必要ないから」と補聴器をはずすのではなく、疲れない程度に補聴器は着けるようにしましょう。
高血圧の方が難聴や聞こえの変化を感じたら

高血圧と聞こえには関係性があることをお伝えしてきました。
とはいえ、すべての耳鳴りが高血圧によるものではありません。疲労や加齢、難聴、補聴器の調整不足など、さまざまな要因が考えられます。
ただ、拍動性の耳鳴りや、頭痛・めまいを伴う耳鳴りなど、いつもと違う聞こえの変化を感じた場合は、念のため専門家に相談してみることも選択肢のひとつです。
高血圧は難聴や耳鳴りの原因になる?初期症状や対応策などを解説|まとめ
高血圧が関係して起こる耳鳴りは、拍動性耳鳴り(ドクドクという心拍に同期した音)が特徴的です。この耳鳴りは血圧上昇による血管への影響や血流の乱れが内耳に伝わることで生じやすく、体からの大切なサインといえます。
聞こえの変化を感じたら、それは健康管理を見直すきっかけかもしれません。
高血圧と聞こえには関係性があることを知っておくことで、日頃の体調管理への意識も高まります。
また、耳鳴りは難聴や補聴器が合っていないときにも起こることがあります。
すでに補聴器をお使いの方で耳鳴りが気になる場合は、調整の見直しで改善するケースもあります。
愛知県補聴器センター・岐阜県補聴器センターでは、無料で補聴器の点検・クリーニングを実施しています。
プロの補聴器専門相談員によるアドバイスも行っておりますので、聞こえの変化が気になる方は、お気軽にご相談ください。