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ご家族の中で、ご高齢者の方がテレビの音量を大きくしがちで、「うるさい」と感じたことはありませんか?
実は、これはどこの家庭でも起こり得る問題で、単なるわがままではなく、加齢による聴力の低下が原因かもしれません。
高齢の方がテレビの音を聞こえにくく感じるのは、「老人性難聴」による自然な低下が原因のひとつです。適切な対策をとれば、ご家族みんなが快適に過ごせる環境づくりができます。
この記事では、ご高齢者がテレビの音を聞こえにくいと感じる原因から、具体的な解決策まで詳しく解説します。
高齢者がテレビの音を聞こえにくいと感じる原因

ご高齢者がテレビの音量を上げてしまう背景には、加齢による聴力の自然な変化があります。
この現象は決して珍しいことではなく、多くのご高齢者様が経験する身体的な変化の一つです。
まずは、その原因について詳しく見ていきましょう。
高齢者に多い「老人性難聴」とは
老人性難聴とは、加齢による影響以外に明らかな原因が認められない難聴のことを指します。
老人性難聴の特徴として、聴力低下は高音部(4000Hz、8000Hz)から発生し、両耳にほぼ同程度の難聴が起こることが挙げられます。
また、音が聞こえないだけでなく、「何をいっているかがわからない」という語音弁別能の低下も現れるため、騒音下での会話の聴取や早口での会話の聴取が困難になります。
高音域の聴力レベルは40代頃から下がり始めるものの、ほとんどの方は自覚がないため、気づかないことが多いのが現実です。
そのため、家族が先に異変に気づくケースも少なくありません。
老人性難聴のメカニズム
老人性難聴が起こるメカニズムは、内耳の構造的な変化にあります。
加齢によって聞こえづらさを感じるのは、音を感知する細胞数が減ってしまうことが原因です。
小さな音では音の情報をうまく脳に伝えられないため、テレビの音量を上げてしまうという行動につながります。
また、他の老化の原因と同様に、酸化ストレスやDNA損傷などが基礎にあると考えられており、これらの要因が複合的に作用して聴力の低下を引き起こします。
このような生理的な変化は自然な老化現象の一部であり、ご高齢者本人の意思とは関係なく進行するため、周囲の理解と適切な対策が重要になってきます。
テレビの音が聞こえにくいことで生じる影響とリスク

ご高齢者がテレビの音を大きくしてしまうことで、様々な問題が生じる可能性があり、本人だけでなく家族や周囲の人々にも影響が及ぶため、早期の対策が重要です。
ここでは、テレビの音が聞こえにくくなった際に生じやすいリスクをご紹介します。
騒音による隣人トラブル
テレビの音量が大きすぎると、近隣住民からクレームを受ける可能性があります。
特に、夜遅くにテレビを大音量で視聴してしまうと、隣人の睡眠を妨げてしまうケースも少なくありません。
このような騒音トラブルは、長期間にわたって続くと近隣関係の悪化を招き、住環境全体に悪影響を与える可能性があります。
近隣との良好な関係を維持するためにも、テレビの音量問題は早めに解決することが大切です。
家族にストレスがかかる
家族の中で難聴の方だけがテレビの音量を大きくしてしまうと、他の家族にとって大きなストレス要因となります。
リビングでの会話が聞き取りにくくなったり、眠れなくなったりすることが日常的に起こり得ます。
また、テレビなどの音量の調整について何度も指摘をしなければならず、家族間のコミュニケーションにも支障をきたすかもしれません。
このような状況が続くと、家族全体の人間関係にも影響を与え、より大きな問題に発展する可能性もあるため、お互いが快適に過ごせる環境づくりが重要になってきます。
耳に負担がかかってさらに聞こえにくくなる
大音量でテレビを視聴し続けることは、耳にとって大きな負担となります。
長時間の騒音は聴力低下を進行させる要因の一つとされており、既に老人性難聴を患っている場合、さらに症状を悪化させる可能性があります。
音量を極端に上げることで一時的に聞こえやすくなったとしても、根本的な解決にはならず、むしろ聴覚への悪影響が懸念されます。
適切な音量で快適にテレビを視聴できる環境を整えることが、聴力の保護にもつながります。
家にいることが分かりやすくなる
テレビの音が大きいと、外部から家に人がいることが推測しやすくなってしまいます。
これは防犯上のリスクを高める要因となり、特にご高齢者の一人暮らしの場合、不審者に狙われやすくなるリスクも考えられます。
また、生活パターンが外部に知られやすくなることで、プライバシーの観点からも問題となる場合があります。適切な音量でテレビを視聴することは、安全で安心な生活環境を維持することにもつながります。
放置することで認知症のリスクも
聴力低下を放置することで、認知症のリスクが高まる可能性が指摘されています。
聞こえにくさが続くと、家族とのコミュニケーションが減少し、孤立感を感じる高齢者も少なくありません。
社会的な交流の減少は、認知機能の低下を招く要因の一つとされており、早期の対策が重要です。
適切な聴力サポートを行うことで、コミュニケーションを活発に保ち、認知症の予防にもつながる可能性があります。
テレビの音が聞こえにくい時の解決策

ご高齢者のテレビ音量問題を解決するためには、様々なアプローチがあります。
ここでは、実践しやすく効果的な解決策をご紹介します。
それぞれの方法には特徴があるため、ご家族の状況に合わせて最適な選択肢を検討してみてください。
手元スピーカーを導入する
手元スピーカーや首掛けタイプのスピーカーは、テレビから離れた場所でも音を聞きたい方や、テレビ本体の音量を上げたくない方におすすめです。これらのスピーカーはヘッドホンやイヤホンとは異なり、耳をふさがずに済むのがメリットです。
手元スピーカーを使用することで、ご高齢者は自分の聞きやすい音量に調整でき、同時に他の家族は通常の音量でテレビを楽しむことができます。
ワイヤレスタイプの手元スピーカーであれば、移動も自由で使い勝手が良く、ご高齢者に好まれています。
しかし、手元スピーカーでは聴力の根本的な改善には繋がりません。
音量を下げて字幕をつける
テレビの字幕機能を活用することで、音量を下げても内容を理解しやすくなります。
最近のテレビには字幕表示機能が標準で搭載されており、ニュースやドラマなど多くの番組で字幕を表示することができます。
字幕を併用することで、聞き取れない部分を視覚的に補完でき、音量を適切なレベルに保ちながらテレビを楽しむことが可能になります。
しかし、ご高齢の方にとっては字幕を追うのが逆に負担になってしまう場合もあるかもしれません。
テレビの音声設定を調整する
老人性難聴は高音から聞こえづらくなるため、テレビの音声モードを調整して、テレビの音が聞こえやすくすることも効果的な手段です。
最新のテレビには「音声強調機能」や「クリアボイス機能」といった、音声をより明瞭に聞き取れるようにするための機能が搭載されています。
これらの機能は、背景音や効果音に埋もれがちな人の声を強調することで、音量を上げなくても重要な音声をはっきりと聞き取れるようにします。
音声が聞こえやすいように設定を調整し、「クリア」「はっきりモード」などを設定してみてください。
補聴器を活用する
補聴器は、一人ひとりの聴力に合わせて音を細かく調整できるため、テレビの音声はもちろん、日常のさまざまな音や声も聞き取りやすくなります。
補聴器の種類によっては、テレビの音を直接補聴器に届けることができるため、雑音に悩まされることなく快適に視聴が可能です。
音量を上げる必要がないため、ご家族やご近所への配慮にもなります。
さらに補聴器を装用することで、周囲の会話や生活音、インターホンや車の音など、ふだんの生活に欠かせない音も自然に耳に入るようになります。
聞こえのストレスが減ることで、安心感が生まれ、毎日の暮らしがより快適になります。
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テレビの音が聞こえにくいと感じたら?| まとめ
ご高齢者がテレビの音を聞こえにくいと感じるのは、加齢による自然な現象である老人性難聴が主な原因です。
この問題を放置すると、騒音トラブルや家族のストレス、さらには認知症のリスク増加など、様々な影響が生じる可能性があります。
解決策としては、手元スピーカーの導入、字幕の活用、テレビの音声設定調整、そして補聴器の活用などがあります。
特に、補聴器であれば個人の聴力に合わせた調整が可能で、テレビの音がしっかり届くようになり、これまでよりずっと楽しめるようになります。
補聴器を検討される際は、補聴器販売店での相談をおすすめします。
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