イヤホンは補聴器の代わりになる?知っておきたい違いと注意点

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補聴器は、使用される方の聴力や環境に合わせて調整し、耳の状態なども考慮してサイズや形状を決めます。

最近では目立ちにくい補聴器の種類が増えてきており、初めて補聴器を利用されるという方でも違和感なく装着できるように改善が進んでいます。

しかし、「最近耳の聞こえが悪くなってきたな」と感じても、補聴器の見た目に抵抗があったり、費用の心配や見た目を気にされることなどから、「補聴器はまだ使いたくない」と思う方も多くいらっしゃることも事実です。

そんな中、最近では「聴覚補助機能」のついたイヤホンが販売されています。

聴覚補助機能のついたイヤホンは、聞こえにくいと感じる方だけでなく、健聴の方も便利に使って頂けるものです。

それでは、この記事ではイヤホンは補聴器の代わりになるのかという疑問や、購入前に知っておきたい注意点などを解説していきます。

補聴器のような機能をもつイヤホンとは?

補聴器の代わりになると話題の「聴覚補助機能」のついたイヤホンは、周囲の音を聞こえやすくするための機能が備わっています。

聴覚補助機能付のイヤホンは、従来のイヤホンに補聴器機能を搭載した物で、ひとつの補聴器で音楽モードと聴力のサポート機能を使い分ける事が出来ます。

それでは、補聴器とイヤホンについて、注意点などを含めて詳しくみていきましょう。

音を増幅する「聞こえサポート機能」付きイヤホン

音を増幅させるイヤホンはさまざまですが、それぞれが周囲の音をより鮮明に出来る様な工夫がされています。

AppleのAirPodsProなどには、「会話ブースト」や「ライブリスニング」機能が備わっています。

「会話ブースト」は、周囲の音を拾いやすくして、特に会話がはっきりと聞き取れる様になる仕組みです。

「ライブリスニング」は、iPhoneを使用して、特定の音を拾い、それを増幅してイヤホンに届けることで、補聴器の様に使えるという特徴があります。

騒がしい環境にいる時でも、会話を聞き逃すことがないように、小さな音を拾うことで、よりクリアに聞き取りができるようになるという仕組みです。

また、骨伝導イヤホンやアプリ連動型の製品も、一部で補聴器のような使い方ができると紹介されているものもあります。

補聴器との違い

では、補聴機能の付いたイヤホンと、補聴器にはどのような違いがあるのでしょうか?

最も大きな違いは、「管理医療機器」としての認可を受けている点です。

補聴器は、品質や有効性・安全性が確認されたうえで医療機器として認定されています。

また、聴力測定の結果に基づいて、音域ごとにきめ細かく調整することが可能です。

一方、イヤホンは音響機器に分類されます。

あくまで簡易的な増幅であれば改善に期待ができますが、補聴器のように細かい調整はできません。

そのため、ワイヤレスイヤホンで使われるサポート機能の対象者は、主に軽度難聴や健聴者の方となっています。

また、価格についても、補聴器は約3万円~約65万円のところ、イヤホンであれば約4万円~約11万円となっており、大きく違いがあります。
値段だけで見ると、補聴器の購入になかなか踏み込めずに悩んでしまう事があるかもしれません。

しかしながら、現時点で日本で聴力の改善の安全性と有用性が認められているのは、補聴器のみとなっています。

手術や投薬で治療が難しい難聴には、補聴器の装用が勧められます。

イヤホンでは補えない補聴器の役割

補聴器とイヤホンは、一見似ているようにも思えますが、実際には異なる目的と機能が備わっています。

イヤホンと補聴器の大きな違いは、補聴器は個々の聴覚のニーズに特化している事から、イヤホンでは補えない補聴器の役割があります。

補聴器の役割とは、一体どんな要素があるのでしょうか。

順にみていきましょう。

高度~重度難聴にはイヤホンでは対応できない

イヤホンの注意点は、軽度の聞こえづらさに対応した設計で、難聴の種類や程度に応じた細かな設定はできないということです。

そもそもイヤホンはオーディオデバイスとして設計されているため、医療機器として設計されている補聴器とは機能が全く異なっています。

先述したように、補聴器は個々の聴力に応じて、難聴を改善する役割を持っています。

専門家が難聴の原因に合わせて調整を行う事で、より自然な音が聞き取れる様になるでしょう。

雑音抑制や会話の聞き取り補助機能が不足

イヤホンの注意点は、音楽や音声を快適に聞く事を目的としているため、補聴器のような補助機能は不足しています。

そのため、人混みや騒がしい環境では、イヤホンでは逆に聞こえにくいと感じる事があるかもしれません。

一方で補聴器には、「指向性マイク」「雑音抑制」など、聞こえ専用の補助機能が備わっています。

指向性マイクとは、特定の方向からの音を優先的に拾うマイクのことをいいます。

この機能があるおかげで、騒がしい場所でも会話のお相手の声をはっきりと聞き取る事が出来ます。

雑音抑制とは、背景のノイズを自動で減らし、重要とされる声や音を強調させるという仕組みです。

このふたつの機能が組み合わさる事で、騒がしい環境でも快適に聞き取る事が出来ますよ。

医療機器としての品質・サポートがない

聴覚サポート機能のあるイヤホンの注意点として、イヤホンは音響機器のため、“聞こえにくさ”に悩む方への長期的なサポートを想定していません

あくまで一般的なオーディオデバイスとして設計されているイヤホンは、医療機器としての機能や認可はありません。

一方で補聴器は、医療機器として厳密な基準の元で設計されています

難聴の程度に合わせて専門家が調整する事が前提であり、定期的なメンテナンスや点検も可能です。

個々の聴力に合わせた音量や周波数の特性を合わせる事で、より効果的な聞こえに期待が持てます。

補聴器の消耗部品の交換やクリーニング、聞こえの調整など、医療機器として聞こえの質のサポートをしてもらう事が出来ます。

聞こえに不安を感じたら、まずは補聴器販売店へ

「まだ補聴器は必要ないかもしれない」とお考えの方もいらっしゃるかと思います。

価格の手頃なイヤホンから試してみようとお考えになるケースもあるかもしれませんが、もしかすると、実際に必要なのは“イヤホン”ではなく、“補聴器”かもしれません。

補聴器は、聞こえにくさを根本的に改善し、日常生活をより快適にするための医療機器です。

補聴器専門店では、無料の聴力測定や相談、試聴体験などを通じて、ご自身に合った聞こえのサポートを受けることが可能です。

専門家に相談することで、より早く生活の質を高められる可能性があります。

愛知県補聴器センター・岐阜県補聴器センターでは、お客様一人ひとりの聞こえのお悩みに合わせた補聴器をご提案いたします。

「最近ちょっと聞こえづらさを感じてきている」というお悩みでも、お気軽にお問い合わせください。

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まとめ|イヤホンは一時的な補助に、聞こえに不安があれば補聴器の検討を

この記事では、イヤホンと補聴器の違いについてご紹介してきました。

イヤホンは音楽や音声を楽しむためのツールとして優れていますが、医療的な観点では補聴器の代わりにはなりません。

また、聴覚サポート機能のあるイヤホンは軽度な聞こえの補助には使える場合もありますが、聞こえの問題全体をカバーすることは難しいのが実情です。

特に、中度以上の難聴の場合には、イヤホンでは対応が難しいことが多いため、聞こえに不安を感じた際は、早めに専門家にご相談いただくことをおすすめします。

補聴器は、音の聞こえ方を改善し、日常生活をより快適にするために設計された医療機器です。

「補聴器を使うことに抵抗がある」と最初は感じていた方も、実際に補聴器を試してみると「使ってよかった」と感じていただく方が多いです。
まずはお気軽に、補聴器販売店で聞こえについてご相談ください。

愛知県補聴器センター・岐阜県補聴器センターでは、補聴器のことや聞こえのことをお気軽にご相談いただけます。

お近くにお住まいの方は、お気軽にお電話や下記のボタンからご予約ください。

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